予防歯科の重要性
予防歯科とは
予防歯科とは、むし歯などになってからの治療ではなく、なる前の予防を大切にすることです。
歯とお口の健康を積極的に守るため、歯科医院などでの「プロフェッショナルケア」と、歯科医師や歯科衛生士の指導にもとづいた毎日の「セルフケア」の両方で、「予防歯科」を実践しましょう。そのためにも、歯科医院での定期的な健診が大切です。
予防歯科のメリット
予防歯科には多くのメリットがあります。
むし歯や歯周病を早期発見、未然に防げる
むし歯は初期のうちは痛くなく、自分でも気づきません。痛くなったむし歯は、かなり進行していることが多く、たとえ治療しても完治は難しく、その後の歯の持ちは悪くなります。
歯周病にいたっては、痛みを感じることなく進行し、気がついたら歯がグラグラして抜けそうになっていた、ということも珍しくありません。
予防歯科に定期的に通うことで、むし歯で痛い思いをする前に、また削る量が少ないうちに治療することができます。また歯周病の主な原因である歯石を取り除くことで、歯周病が進行しにくい状態を作り、維持することができます。
健康な歯を長く維持し続けられる
歯は一度失うと二度と元には戻りません。むし歯治療で歯を削ることは歯の寿命を縮めます。いかに歯を削ることなく健康な状態を長く維持するかが大事です。歯を失えば失うほど食べられるものが減り、食事の楽しみは半減します。食事の楽しみはQOL(生活の質)において非常に重要な要素です。
そのためにも予防歯科で今ある健康な歯を守りましょう。
見た目の美しさ
予防歯科では仕上げにPMTCを行います。PMTCとは専用の薬品とブラシで歯を徹底的に清掃することです。歯の表面に付着した、飲食物の着色汚れが落ち、歯も明るくつややかになり、見た目も綺麗になります。
痛みに苦しむことが少なくなる
早期にむし歯を発見できることで、痛みに苦しむ前に治療を受けることができます。また小さいむし歯は治療時の痛みもほとんど感じず、麻酔を使用しないことが大半です。費用や時間も少なくて済みます。
健康寿命が延びる
超高齢社会となった日本。平均寿命は男女とも80歳を超えています。今後の大きな課題は、介護に頼らず、自分で最低限の生活ができる「健康寿命」を延ばすことです。歯の残存本数が多いほど、健康寿命が長くなることが近年の研究で明らかになってきました。
認知症のリスクを減らせる
歯の残存本数が少ない人ほど、脳の海馬や前頭葉の容積が小さくなり、認知症のリスクが高まることが分かっています。また残存本数が20本未満で、入れ歯等を入れていない高齢者は認知症のリスクが約2倍になるという研究もあります。
全身の病気を予防
むし歯や歯周病は口の中だけでなく、全身の病気の発症や進行にも影響を与えます。
高齢者に多い誤嚥性肺炎は、歯周病菌が肺に侵入して発症します。また、歯周病菌の毒素により動脈硬化が引き起こされ、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます。さらに歯周病と糖尿病とは相互に悪影響を及ぼすことが分かっています。
経済的な負担が軽くなる
予防歯科の定期検診は費用の負担はあるものの、年に数回ほどです。むし歯や歯周病になると治るまでに何度も通院しないといけません。むし歯や歯周病は定期検診よりも費用と時間がかかります。
また予防歯科を行うことで、歯科だけでなく全身の病気を予防することにつながり、将来的な医療費の負担も大幅に軽くなります。
セルフケアとプロフェッショナルケアの両立
「口腔ケア」には、自分で毎日行うセルフケアと、歯科医師や歯科衛生士などの専門家が行うプロフェッショナルケア(専門的口腔ケア)があります。
セルフケア
- 適切な歯ブラシを使って、毎日(なるべく毎食後)すみずみまできれいにみがく。
- 歯間ブラシやフロスなども活用して、歯垢を取り除き、歯石を予防する。
- 摂食・嚥下がスムーズになるように、口腔リハビリや口腔体操、マッサージなどで口腔機能を維持する。
- 栄養バランスのよい食事をよく噛んで食べる。
- 歯科検診を定期的に受ける。など
プロフェッショナルケア
- 全身状態やお口の状況に見合った口腔ケアのアドバイスを行う。
- 歯石の除去など、自分ではできない専門的なケアを行う。
- 口腔機能の維持や回復のための指導やケアを行う。
- フッ化物洗口など、口腔トラブル予防のための薬剤の紹介やアドバイスを行う。など
お口の健康を維持するためには、セルフケアとプロフェッショナルケアの両方を上手に取り入れましょう。
当院の予防歯科
予防歯科は、患者さま自身の日々のセルフケアが最も重要です。歯科医師や歯科衛生士の指導のもとセルフケアを身につけましょう。セルフケアで除去することが難しい歯石やバイオフィルムは、プロフェッショナルケアで取り除いていきます。定期検診は、3ヶ月に一度が望ましいですが、お口の状況や生活習慣を考慮し、頻度やプログラムを決めていきます。
定期健診の実施
チェック項目
- つめ物やかぶせ物の状態
- かみ合わせ
- むし歯や歯石の有無
- 磨き残しの有無
- 歯ぐきの状態
歯や歯ぐきの病気が無いかどうか、年1回を目処にレントゲン検査でチェックいたします。
当院の予防歯科メニュー
歯磨き指導
自己流の歯磨きを卒業することで、お口の中をキレイに保つことができるようになります。患者さまに合った歯ブラシ、歯磨き粉、歯間ブラシなどをご案内し、セルフケアのアドバイスをさせていただきます。
歯石の除去/PMTC
歯科衛生士による歯面清掃をPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング)といいます。専用の機器を使い、歯のクリーニングをおこないます。
毎日欠かさず歯磨きをしても、むし歯になってしまうことがあります。定期的にPMTCを受けることで、毎日の歯磨きでは十分に落としきれない汚れ(バイオフィルム)をしっかりと取り除くことができます。むし歯・歯周病の予防には、PMTCが効果的です。
フッ素の塗布
定期的にフッ素塗布をおこないます。むし歯に対する抵抗力がアップし、予防に繋げることができます。
唾液検査の実施
唾液検査システムSMT
当院が採用している唾液検査システムSMT(サリバリーマルチテスト)では
- 歯の健康
- 歯ぐきの健康
- お口の清潔さ
を調べることができます。
とても簡単な検査なので、お子様にもお勧めです。
歯とお口の健康を守るためには、一人ひとりに合ったケアが大切です。唾液検査でお口の中の状態を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。